日本酒

日本酒は、通常は米(主に酒米)と麹と水を主な原料とする清酒(せいしゅ)のことを指します。
日本特有の製法で醸造された酒です。

日本酒は、種類が多くてわかりにくいと言われています。
日本酒の種類や名称の違いを簡潔にお伝えします。

日本酒の種類

一般的な日本酒のアルコール度数は15~16%です。
女性や若者など軽い酒を好む消費者や、輸出を含めた洋酒との競争に対応するため、アルコール度数がビールよりやや高い程度の6~8%台や、ワインと同程度(10%台前半)の低アルコール日本酒も相次ぎ開発・販売されています。

まず日本酒とは、お米をこして造る「清酒」のことを指します。
清酒は「特定名称酒」と「普通酒」に分けられます。
「特定名称酒」とは、原料や精米歩合などの要件を満たす日本酒に「特定の名称」が与えられているものです。

「特定名称酒」と「普通酒」

特定名称酒 米穀検査により3等以上に格付けされた玄米または3等以上に相当する玄米を精米した白米を用い、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合)が、15%以上のもの。
原料や精米歩合により、本醸造酒、純米酒、吟醸酒に分類されます。
普通酒 一般に流通している大部分の日本酒は普通酒に分類されます。
米、米こうじ、水のほか、清酒かす(酒粕)、副原料(醸造アルコールなど)で製造され、副原料の重量が米・米こうじの重量を超えない範囲という条件をクリアしたもの。

「特定名称酒」の分類

使用原料は、米・米こうじ・水が基本で、醸造アルコールのあり・なしにより、大きく分けると「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3種です。
細かく分類すると8種類になります。

特定名称酒の分類 吟醸造り
かつ
精米歩合≦50%
吟醸造り
かつ
精米歩合≦60%
特別な製造方法
または
精米歩合≦60%
特になし
醸造アルコール:なし
(純米)
純米大吟醸酒 純米吟醸酒 特別純米酒 純米酒
醸造アルコール:あり 大吟醸酒 吟醸酒 特別本醸造酒 本醸造酒
※精米歩合≦70%
吟醸造り

吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造すること、と定められています。

精米歩合

玄米を削って糠(ぬか)を取り、白いお米にすることを「精米」と言います。
食用米の精米歩合は90%ほどで米の表層を1割ほど磨いていることになります。
日本酒造りにおいては、さらに米の表層を磨きます。
米の表層部分には、たんぱく質やでんぷんなどの栄養素が含まれており、栄養素が多すぎると日本酒の雑味の原因となる上、香り成分を抑制することにつながるので、食用米よりも多く磨きます。
一粒一粒を磨き上げるには時間と手間がかかるため、一般的に精米歩合が高いほど高級な日本酒になります。

特別な製造方法

規格は純米ですが「ある特別な醸造方法をとっている」ために「特別純米」「特別本醸造酒」と記載することもあります。
ただし、何をもって「特別な醸造方法」とするかの明確な基準はなく、各日本酒蔵の裁量に任されています。
ラベルに「なぜこの製品が特別純米であるかがわかるような記載」が必要です。

甘辛度と濃淡度

日本酒のラベルや居酒屋でのメニューに数字が記載されていることがあります。
甘辛度と濃淡度という、好みの日本酒を選ぶ際の数字となります。

(1)甘辛度

甘辛の度合いを示す値です。

非常に辛い かなり辛い すこし辛い 辛甘中間 すこし甘い かなり甘い 非常に甘い
-3 -2 -1 0 1 2 3

(2)濃淡度

味の濃淡の度合いを示す値です。
濃淡度がプラスになるほど味が濃くなります。

日本酒の飲み方:温度

温度で楽しめるのが日本酒の特徴です。
それぞれの日本酒に合った、美味しく呑める温度がありますし、それぞれの人の好みの温度もあります。
いろいろ試してみると、楽しく呑めます。

温度 名称 概要
55℃前後 飛切燗
とびきりかん
徳利を持つとかなり熱く感じます。
「ひれ酒」に向いた温度です。
50℃前後 熱燗
あつかん
徳利を持つと熱く感じ、湯気が立ちます。
辛口のお酒に合っています。
45℃前後 上燗
じょうかん
熱燗よりややぬるめです。
香りや味が引き締まる温度です。
40℃前後 ぬる燗
ぬるかん
飲んだ時に温かいと感じる温度です。
甘みやコクが増します。
35℃前後 人肌燗
ひとはだかん
飲んだ時にぬるいと感じる人肌程度の温度です。
旨みが増し、口あたりがまろやかになります。
30℃前後 日向燗
ひなたかん
常温よりやや高めの温度です。
香りが引き立ちなめらかな味わいになります。
20〜25℃ 冷や
ひや
ほぼ常温の温度です。
本来の味わいが最も味わえる温度です。
15℃前後 涼冷え
すずひえ
冷蔵庫から出してしばらく常温にもどした温度です。
少し冷たさを感じる温度です。
10℃前後 花冷え
はなひえ
夏場は冷蔵庫から出した温度、冬場は常温です。
徐々に香りが広がる温度です。
5℃前後 雪冷え
ゆきひえ
よく冷やした温度です。
華やかな香りとフルーティーなタイプの吟醸酒を楽しめる温度です。

日本酒の飲み方:つぎ方・つがれ方

「受け手」「注ぎ手」のコミュニケーション。
美しく見える所作があります。

日本酒

ステップ 受け手 注ぎ手
ステップ1 酒を注いでもらう前に、盃(さかずき)に残っている酒をひと口飲んでから、盃を右手に持ち左手を盃の下に添えると美しく見えます。 徳利を右手でしっかりと持ち、左手は注ぎ口の近くに添え、徳利が盃に触れないように静かに注ぎます。
ステップ2 注がれる際は盃を必ず手に持ちます。右手に盃を持ち、左手を盃の下に添えます。 注ぎ始めから 細く→太く→細くなるよう強弱をつけて注ぎ、注ぎ終わりは徳利の口先を手前に軽く回してお酒が垂れないようにします。
ステップ3 注いでもらったら、まずひと口飲んでから卓上に盃を置きます。

日本酒の飲み方:「盛りこぼし」

日本酒,盛りこぼし

日本酒の注ぎ方には、グラスを升やお皿に乗せるなどして、あえてあふれるまで注ぐ「盛りこぼし」と呼ばれるものがあります。
「盛りこぼし」とは、グラスのふちギリギリまで注いで升やお皿にこぼす注ぎ方のことです。
日本酒を提供するお店が「どれくらいサービスしてくれるのか」という気前のよさを示すものとも言われています。
注ぎ方や飲み方に「これが正しい」という決まりはとくにありませんが、スマートとされている盛りこぼしの飲み方を紹介します。

  1. グラスを口の方から迎えに行き、グラスを持ち上げられる位まで1〜2口呑む。
    ※日本酒をグラスから少しだけ升やお皿にこぼすとスムーズです。
  2. グラスを升から持ち上げ、グラスについている日本酒を升やお皿にできる限り戻す。
  3. おしぼりでグラスの底を拭く。
  4. グラスのお酒を堪能する。
  5. 升のお酒をグラスに移すもよし、升から呑むもよし。

日本酒の飲み方:してはいけない作法

のぞき徳利 徳利の中をのぞいて酒が残っているか確認すること。
振り徳利 徳利を振って酒が残っているか確認すること。
併せ徳利 少しずつ残っている酒を集めて、1本の徳利にまとめること。
逆手注ぎ 手のひらを上にして注ぐ動作は不祝儀です。
逆さ盃 盃を裏返してテーブルに置くこと。
なみなみ注ぎ グラスや盃になみなみお酒を注ぐこと。

酒蔵の「杉玉」

杉玉

酒蔵の軒下に「大きな玉」が吊り下がっているのを見たことはありませんか?
「杉玉(すぎだま)」と呼ばれるもので、意味があって飾られています。

「杉玉(すぎだま)」は、新酒の季節に飾られ始めます。
「今年も新酒ができました」という意味があります。

杉玉は最初は緑色ですが、緑→薄い緑→茶色と「日本酒の熟成度合い」とともに自然に色が変化していきます。

杉玉


日本酒についての知識を得ておくことで、美味しく呑めるだけではなく、周囲の方に氣持ち良く呑んでもらうこともできます。