日本では、オフィスに神棚がある企業が多くあります。
神棚だけではなく、屋内や敷地内に神社を建立している企業もあります。
神棚とは、神社でいただいた神札をお祀りする神聖な場所のことです。
神社参拝するのと同じように、感謝を示したり、祈祷を行うことができます。
しかし、神棚や神社に参拝すれば企業が存続できるというわけではありません。
なぜこのようなことをしているのでしょうか?
日本独特の価値観が今も生きており、地域社会をキーワードに考えるとヒントが見えてきます。
神社の役割
地域社会が成立する頃より存在している地域の神社。
地域社会における神社の役割は次のとおりです。
- 正月などの季節の節目に集まり、地域社会の一員であることを再認識する
- 先人たちに思いを馳せる精神的支柱であり原点回帰をする場所
- 祭りを行い、地域社会の一体感を醸成する
- 人智を超えたあらがえないものへの謙虚な気持ちと、生かされていることへの感謝の気持ちを示す場所
以前では、田植えや稲刈りなどの農作業や子育てからお年寄りの見守りまで、地域社会全体が「相互扶助の機能」を持っていました。
相互扶助の機能の中心となっていたのが神社です。
「地域社会」を「企業」に置き換えて考えてみると、わかりやすいと思います。
企業での神棚や神社の役割
地域社会と企業は、同じような「相互扶助の機能」を持っています。
共同体としての働きであり、共通の目的を持ち、各人各部署が連携し、社会に影響を及ぼすといった面での「相互扶助の機能」です。
ただ、現在では残念ながら相互扶助の価値観は薄れつつあります。
- 同じ場所で拝むことにより、企業の一員であることを再認識する
- 創業時に思いを馳せる精神的支柱であり原点回帰をする場所
- 自分よがりにならないように、自らの判断などを振り返る場所
- 予測困難な出来事に対して、畏怖の念や謙虚・感謝の気持ちを感じる
今では少しずつ薄れていますが「日本的経営」である、終身雇用制・年功序列制といった「企業は共同体」への意識を再確認する場所として重要視されています。
近代的ではないかもしれません。
しかし、ルールで縛るのではない究極のガバナンスシステムと呼べるのかもしれません。
こんなところにも神社があります
歌舞伎稲荷神社
東京都中央区銀座にある歌舞伎専用の劇場である「歌舞伎座」。
歌舞伎座にも「歌舞伎稲荷神社」があり、どなたでも参拝することができます。
羽田航空神社
羽田空港こと東京国際空港内にも神社があります。
空の安全と航空界の発展を祈念されて建立されたものです。
第1旅客ターミナル1階(到着ロビー)にあり、時間制限はありますがどなたでも参拝することができます。
所属する社員ひとりひとりが共同体としての企業を担っている。
このような意識を再確認するための古来の価値観が今も生きていると感じます。