世界の国旗

国旗には、各国の想いが込められています。
太陽・月・星を象ったものや、色を使って表現したものなど、いろいろあります。

また国歌は、国家を象徴する歌曲または器楽曲のことです。

日本の国旗は、白地に赤丸が描かれた旗で、法律上は「日章旗」、一般的に「日の丸」と呼ばれています。
日本の国家は「君が代」です。

なお、国旗を「日章旗」、国歌を「君が代」と規定したのはまだ最近で、1999年です。
「国旗及び国歌に関する法律」により、正式に、国旗を「日章旗」、国歌を「君が代」と定められました。

日本の国旗と国歌にどのような想いが込められているのでしょうか?
簡潔にお伝えします。

日本の国旗:日章旗・日の丸

日の丸

日本の古代信仰として、農耕や漁業を主としていましたので、太陽を信仰の対象としてきました。
日本の神話である「古事記」でも、「天照大御神」は太陽を司っていることが書かれています。

太陽を象った旗を用いるようになったのは、645年頃からと言われています。
日本で「白地赤丸」が日章旗として用いるようになった経緯は諸説あり、正確には不明です。

日本では、聖徳太子時代の遣隋使に託した文書以来、自国を「日出ずる国」とする考え方があり、赤い日の丸は日の出の太陽を象徴しています。

また紅白は日本の伝統色で、めでたいものとされており、赤は博愛と活力、白は神聖と純潔を意味するとも言われています。

「日の丸」は古来用いられてきましたが、1999年の法律制定までは長い間「慣習」として使用されて来ました。

日本の国歌:君が代

さざれ石

10世紀初頭の「古今和歌集」の「読人知らず」の和歌である「我君は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」を初出としています。
世界の国歌の中で、作詞者が最も古いと言われています。

君が代は
千代に八千代に
さざれ石の
いわおとなりて
こけのむすまで

イギリスの日本研究家B.H.チェンバレン(Basil Hall Chamberlain, 1850-1935)は、この歌詞を英語に翻訳していますが、和歌の翻訳であり、西洋に通じる翻訳を行っていますので、日本語に訳すると意味が変わってきます。

A thousand years of happy life be thine!
Live on, my Lord, till what are pebbles now,
By age united, to great rocks shall grow,
Whose venerable sides the moss doth line.

(日本語訳)
汝(なんじ)の治世が幸せな数千年であるように
われらが主よ、治めつづけたまえ、今は小石であるものが
時代を経て、あつまりて大いなる岩となり
神さびたその側面に苔が生(は)える日まで

歌詞の解釈には諸説ありますが「日本の末永い繁栄と平和を祈念した歌」とされています。

初代「君が代」は、イギリス陸軍軍楽隊長J. W. フェントン(John William Fenton, 1831-1890)の作曲です。
その後、西洋的な旋律になじめなかったこともあり、雅楽の音階で作曲されたものを、ドイツ人のF. エッケルト(Franz Eckert, 1852-1916)によって吹奏楽用に編曲されました。

歌詞中の「さざれ石」は、小さな石のことを示しています。
長い年月をかけて小石の欠片の隙間を炭酸カルシウム(CaCO3)などが埋めることによって、1つの大きな岩の塊に変化したものが「いわお(巌)」です。
「さざれ石」が長い年月をかけて「いわお(巌)」となり、さらにその上に苔が生えるまでの過程が、非常に長い歳月を表す比喩表現として用いられています。


1985年2月26日の閣議で松永光文部大臣は文部省の調査で「君が代」には3番まで歌詞があると報告しています。
参考までに記載します。

君が代は
千代に八千代に
さゞれ石の
巌となりて
苔の生すまで

君が代は
千尋の底の
さゞれ石
鵜のゐる磯と
あらはるるまで
(※源頼政のよんだ歌と言われています。)

君が代は
限りもあらじ
長浜の
真砂の数は
よみつくすとも
(※光孝天皇の大嘗祭に奉られた歌)


世界の国々の国旗・国歌には想いが込められています。
自国の国旗・国歌だけではなく、他国の国旗・国歌の歴史を理解することも大切に感じます。