「近江商人(おうみしょうにん)」とは、中世から近代にかけて活動した近江国(現在の滋賀県)出身の商人のことを指します。
主に江戸時代に、日本全国で商売を展開しています。
様々な規律や行動哲学が生み出され、家訓として代々伝えられています。
今回は「近江商人の三方よし」についてお伝えします。
近江商人とは?
明治維新以前、滋賀県は「近江」と呼ばれており、近江を本拠地として地元の特産品を中心に全国各地へ行商に出かけ活躍した商人が近江商人です。
近江商人が大きく発展した時期は、戦国大名である織田信長(1534年~1582年)の時代です。
織田信長は、不必要な関所を撤廃して流通を活性化させ、都市の振興と経済の発展を図りました。
その後、織田信長の経済政策は豊臣秀吉に引き継がれ、近江の商業はこの時代に飛躍的に発展しています。
近江商人は「三方よし」と呼ばれる「経営哲学」を持っていました。
近江商人が発展したひとつの要因は、今も受け継がれている「三方よし」にあると言われています。
三方よしとは?
「三方よし」は「買い手よし、売り手よし、世間よし」といわれ、近江商人が信用を得るために大切にしていた「商売の理念」です。
売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならない、ということを伝えています。
- 自らの利益のみを求めることなく、多くの人に喜ばれる商品を提供し続ける
- 利益を社会貢献に使う(橋や学校などを無償で提供するなど)
現代における「CSR(Corporate Social Responsibility)」
企業経営の根幹において、企業の自発的活動として、企業自らの永続性を実現し、また、持続可能な未来を社会とともに築いていく活動である「CSR(Corporate Social Responsibility)」と同じことを既に行っています。
現代の企業にも「『三方よし』の精神」は受け継がれています。
おそらくですが「三方よし」には、もうひとつ「未来よし」の想いも込められていると思います。
私たちも、
未来に何を遺すか?
次の世代へ何を引き継いでいくか?
こうしたことを「三方よし」を感じながら、もう一度考えていく時期なのでは?と思います。