「礼に始まり礼に終わる」という言葉があります。
「礼に始まり礼に終わる」とは、主に、剣道をはじめとする「武道」の精神・あり方について表現している言葉です。
試合では作法を守り、また相手への敬意を示すことが、何よりも重んじられるべきである、ということを伝えています。
「礼節」をもって試合に臨むことは勝敗よりも重要であるという考え方です。
「武道」とは日本伝統の「古武術」から発展したものであり、稽古を通して人としての生き方やあり方を整えることを目的とするものです。
肉体の鍛錬や技術の習得とともに、「礼節」が重んじられます。
「武道」で「礼節」が重んじられる理由として、相手への敬意を表すことによって「自律」することがあります。
武道では、「心」「技」「体」が三位一体となって「自律」を身に付けることが「一流」と定義されています。
「心」「技」「体」とは何でしょうか?
1.「心」:精神力(人格)を高める
・最後まで諦めない
・常に高い目標を掲げ、挑み続ける
精神力を磨くことにより、壁が立ちはだかる度に超えるまでやり抜くという、自分に負けない意志を持って生きることになります。
別の表現をすると、「人生の目的」を意識し、人生の目的を体現するまでやり抜くことと言えます。
日本では、「人生の目的」を「志」と表現しています。
2.「技」:人間的な能力(人望)を拡げる
・自分の感情を上手くコントロールする
・貢献により自身を成長させるとともに周囲も成長させる
感情の乱れや闘争意識をコントロールすることが大切であり、未熟さがケガやトラブルの元となります。
目の前の相手と謙虚に向き合うことが必要です。
別の表現をすると、「チームシップ」となります。
「チームシップ」とは、「地位や役割に関係なく、関わる人ひとりひとりがお互いを理解しながら、共に成長すること」です。
3.「体」:取り組み姿勢(人徳)を積む
・量稽古を質稽古に変換していく
・修行を通して日々研鑚していく
最初は誰もができないところからスタートしますので、量稽古が必要です。
量稽古を積み重ねるうちに、少しずつ量が質へと変換していきます。
別の表現をすると、「主体的に行動すること」となります。
「主体的に行動すること」とは、責任を引き受け、計画→行動→検証→改善(行動)の繰り返しを行うこと。
行動し続けることで、取り組み姿勢(人徳)が積まれ、「人間としての器」が大きくなっていきます。
「心」「技」「体」での三位一体追求していくことを、武道や芸道、匠の世界を通じて伝えています。
このページでは、精神を高めるための武道や芸道、匠などに関する日本学をお伝えします。
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