氏神(うじがみ)と産土神(うぶすながみ)、一般的には同じ意味で使われている場合が多いのですが、実は違います。
あなたは違いがわかりますでしょうか?
今回は、氏神(うじがみ)と産土神(うぶすながみ)の違いについてお伝えします。
ただし、違いを認識するよりも「参拝する氣持ち」が大切です。
あまり細かなことにこだわることなく参拝することも必要です。
氏神(うじがみ)
氏一族の守護神のことを示し「血縁的な神」となります。
例えば、「田中一族」が別の場所に移り住んで「田中一族を祀る神社」を建てたのであれば、建てた神社は、田中一族にとっては「氏神の神社」となります。
厳密には、田中一族をお守りする神様のこととなりますので、田中さんの家には田中さんの氏神さまがいらっしゃり、伊藤さんの家には伊藤さんの氏神さまがいらっしゃることとなります。
「昔の姓」ですと、
- 「物部氏」の氏神は「布都大神(ふつのおおかみ)」をお祀りする「石上神宮(いそのかみじんぐう)」
- 「藤原氏」の氏神は「天児屋根命(あめのこやねのみこと)」をお祀りする「春日大社」
- 「忌部氏」の氏神は「天太玉命(あめのふとたまのみこと)」をお祀りする「忌部神社(いんべじんじゃ)」
といったようになります。
その後、他の「氏」の方々がその土地に移り住み、同じ神社に参拝するようになります。
神社はオープンですので、誰もが自由に参拝することができます。
「田中一族を祀る神社」を建てた頃に使っていた「氏神様」という呼び名が受け継がれ、他の「氏」の人々も「氏神様」と呼んで参拝するようになりました。
産土神(うぶすながみ)
「産土神(うぶすながみ)」とは「土(すな)を産み出す神」のことを指します。
「氏神(うじがみ)」が「血縁的な神」であれば、「産土神(うぶすながみ)」は「地縁的な神」となります。
その土地をはじめ、生育する作物、植物、河川などの自然物をはじめ、その土地に住む人間の生活全般に密接に関わる働きをしているのが「産土神(うぶすながみ)」です。
「産土神(うぶすながみ)」が、その土地を守っています。
「産土神(うぶすながみ)」は、日本の神とのみ限定していません。
日本だけではなく、地球上の各地に「産土神(うぶすながみ)」がいる、という考え方です。
つまり、国境はありません。
自分が住んでいる地域を守護する神様
「氏神(うじがみ)」「産土神(うぶすながみ)」とともに「鎮守神(ちんじゅがみ)」という呼び名もあります。
「鎮守神(ちんじゅがみ)」は一定の場所・土地に住む人々や、建物を守護する神のことを言います。
概要でお伝えすると、大規模な範囲、例えば一国や一城を守護することで祀られた神々のことで、「一の宮」も、その国の「鎮守神(ちんじゅがみ)」と言えます。
現在では、「氏神(うじがみ)」「産土神(うぶすながみ)」「鎮守神(ちんじゅがみ)」とも、「自分が住んでいる地域を守護する神様」として同じ意味で使われるようになっています。
「氏子(うじこ)」も、本来は「氏神を祀る氏族の子孫」を意味していたものが、現在は「氏族」とは関係なく「その神社の祭祀圏内に住んでいている人達」を「氏子」と呼ぶようになっています。
このような視点から観ると「伊勢神宮(いせじんぐう)」は、皇祖(天皇家の祖先神)であると同時に「日本の総氏神様」でもあり、「日本の総鎮守」と言えます。
身近にある「神社」の歴史や、建立の経緯などを調べてみると「神道」が身近に感じられるのかもしれません。
また、調和や融合を大切にしてきた先人たちの価値観を感じることができると思います。